e-SETの狙いは?
「宇宙産業を地元・北部九州に根付かせたいという大きな目標があります。営利目的というより、産業振興なんです」(當房さん)
例えば、カネクラ加工がある福岡県大川市は、かつて日本一の木工家具生産地として知られたが、家具の国内生産は減少傾向にある。カネクラ加工は業務のひとつに木製品加工を挙げるが、e-SETの誘いで宇宙への挑戦に参加した。
「久留米は技術の集積する場所であり、物づくりの土壌としては最高。何でも作っちゃう。衛星づくりも最初はどうかなと思ったけれど、実際やってみると、作ること自体に大きな障害はなかった。これからも先端産業をどんどん取り入れて、自分たちの得意分野にしてモノづくりを極めていきたい」
當房さんは、宇宙に挑戦する企業がどんどん出ることを歓迎。競争もあるが協力もする、「日本版シリコンバレー」にしていきたいと意欲的だ。
2週間に一度の会議で「ワンチーム」に
オガワ機工の伊藤副社長は、衛星づくりの過程で最高にうれしい点として、「若手社員のモチベーション上がっていること」を挙げる。
「『衛星の設計やってみてどうや?』と聞くと『楽しいです。めちゃくちゃやりがいがあります』と答えてくれる。会社の価値も上がるし、自分にとって励みになる」