一時の勢いに陰りが出ているだけではない。何しろ、やらなければならないことが山ほどあるのだ。

 まずは、世界規模でのリストラ。それだけではない。今や自動車業界は「100年に1度」ともいわれる大転換期を迎えている。

「水素、EV、ハイブリッドに加え、IT、AIやロボット、自動運転からカーシェアまで、自動車に関連する分野では何が突然起きるか分からない。いくらあっても投資額と人材が足りない」(大手日本メーカー役員)という時代だ。

新本社完工まであと7年

 現代自動車グループも、ハイブリッド、EVさらに水素自動車の開発を急いでいる。特に、水素自動車については、「トヨタ自動車に負けない」という意気込みだ。

 2018年11月には、東南アジア地域で配車サービス事業を皮切りに事業をどんどん拡張しているグラブに2億5000万ドルを出資した。

 さらに2019年9月には、米国に自動車部品大手、アプティブ(旧デルファイ)とそれぞれ20憶ドルを出資して、合弁で自動運転技術の開発会社を設立した。

 現代自動車グループも、必死なのだ。

 現代自動車は1967年の創業以来、大きな失敗なしに順調に成長した。

 当初は、三菱自動車の技術を導入して小型車開発技術を磨いた。小型乗用車「ポニー」や「エクセル」の開発で、事業を軌道に乗せた。

 1990年代末以降は、鄭夢九会長が起亜自動車の買収や積極的な海外進出で一気に事業を拡大させた。

 鄭義宣総括首席副会長は、ここ1~2年で父親に代わって事実上の経営トップの役割を担うようになった。

 代替わりを果たしたと思ったとたん、「宿題」が山積しているのだ。

 本社の完工まで7年。105階建ての本社の執務室で鄭義宣氏が業務を始める頃、現代自動車グループは、世界のトップグループで疾走を続けているのか?

 道のりは険しい。