台風、地震、噴火・・・。日本列島は災害列島とも言われる。この秋も、次々と大型台風が日本列島に容赦なく襲いかかり、各地に甚大な被害をもたらした。
避難所生活を余儀なくされた方たちもおられる。避難所でまず直面するのが水と食料の問題だ。
「3.11(東日本大震災)直後、避難所では水が圧倒的になくなりました。そんな時、(防災食の)乾パンを渡したら余計にのどが渇き、『水をください』と言われてしまう」
そう語るのは、宮城県多賀城市に本社・工場をもつワンテーブルCEO島田昌幸さんだ。島田さんは仙台で被災。避難所で支援活動を続けた中で、さまざまな課題に直面する。
災害直後は水や電気・ガスの確保がままならず、レトルト食品やインスタント食品は食べられない。また水が貴重だからと水分摂取を控えることによって、脱水症状やエコノミー症候群などの健康被害が発生する。そして、しばらく経つと別の問題が起こってくる。
「『被災太り』ってご存知ですか。右手に乾パン、左手におにぎり。支援に来られる方も『被災者がお腹がすいているだろう』とうどんやラーメン、焼きそばを差し入れる。つまり炭水化物が中心になり、栄養が偏ってしまうのです」(島田さん)
こうした体験から島田さんは「水を必要とせず、栄養バランスのとれた防災食を作ろう」と決意。水が不要で栄養価の高い防災食にゼリー食を考案したものの、5年間の保存期間という高いハードルに直面した。
防災食や備蓄食の保存期間に明確な基準はないが、備蓄食の代表とされる乾パンの賞味期限は平均5年。島田さんも5年の保存期間を目指したものの、「ゼリーを5年間もたせるのは技術的にすごく難しい。水を含むということは、菌が増殖しやすいことになるから。乾パンやアルファ米は水分がないから5年もつのです」(島田さん)。