これらに際して、伊藤氏からスタッフに匿名での処理や「名前を言ってはいけない、あの人、He-Who-Must-Not-Be-Named」などとして伏せるよう指示されていたことも明らかになっています。
こうした「困った資金」の受領は、しかし、決して伊藤氏単体で判断したものではないらしい。
メディア・ラボを設立したニコラス・ネグロポンテは「もらえるものはもらっておけ」式の発言を疑惑が明らかになってからも続け、女性研究者と論争になるなど、泥沼の状態を呈している様子です。
一連の問題の本質的な背景は、大学が研究教育の場という以上に、営利の場、あるいは投機によって生じた負債の埋め合わせなど、本道から外れた金銭空転の場に転じてしまったことにあると指摘する必要があるように思います。
我が国でも研究能力を持たなかったり、自身が学位を取得しておらず学生指導ができない大学教授職が様々な問題を起こし、発覚して処分されるケースが後を絶ちません。
特例的な人事などというときには、何らかの背景があることが少なくないように思います。
伊藤穣一MITメディア・ラボ所長という、常識的にはあり得ない人事の背景には「財務」の事情が密接に関わっていた可能性が高い。
込み入った背景については、続稿での検討を準備する念頭です。
何であれ、副所長の石井裕さんを筆頭に、良心的なメディア・ラボのメンバーが自浄作用を発揮して、あるべきアカデミアの本道に戻られることを期待したいと思います。