プライベートではカリブ海に浮かぶヴァージン諸島「リトル・セント・ジェームズ島」を所有、80エーカー(=10万坪ほど)、つまり東京ドーム8個分ほどの、逃げ場のない孤島で10代の少女たちが乱交パーティーに参加させられたことが、のちのち明らかにされていきます。

 この「プライベート・アイランド」には米国内外の政財界要人が飛行機で訪れていることが知られています。

 例えばビル・クリントン元大統領や英国のアンドルー王子は複数回この島に降り立ったことが確認され、彼らが未成年者と性行為に及んだ疑惑も指摘されています。

 エプスタインは、警察のいない彼の「島」での「セキュリティ」のため、として随所にビデオカメラを仕込み、そこで有力者に性的な接待を行うとともに、それらの模様を記録して脅迫などに使用していた容疑がかけられていました。

 とはいえ、何もこの島を訪れた人がすべて、未成年者との乱交に及んだわけではありません。エプスタインはもう一つ重要な「政略」を持っていました。アカデミーです。

 例えば、亡くなった宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングは、エプスタインがこの島で主催した素粒子物理・宇宙論の国際会議のために、複数のノーベル物理学賞受賞者たちとともに来訪しています。

 エプスタインは2005年から06年にかけて、フロリダ州パームビーチの私邸内で未成年の少女に300ドルほどの金銭を払い、性的なマッサージをさせていた容疑で禁固1年1か月の判決を受けます。

 この折、エプスタインの弁護人を務めたのは、のちにドナルド・トランプ政権で労働長官に指名されるアレクサンダー・アコスタでした。

 アコスタは、エプスタインに児童買春一件を認めさせて性犯罪者登録するとともに、連邦レベルでの訴追を免れるなどの減刑に便宜を計った容疑がかけられています。

 このエプスタインと秘密裏の司法取引を糾弾され、アコスタは2019年7月12日に辞職しました。