確認できないのが残念だが、再放送されなかったのではないか。すくなくとも私は再放送を見ていない。あれだけ熱中して見ていた作品だから、再放送されていれば、かならず見ているはずである。本放送から34年後の2005年にDVD化された際には、即、大人買いで購入したが、「伝説のアニメンタリー」となっていたのは、いろいろ理由があったのだろう。本放送当時から、さまざまな批判にさらされていたようだ。

DVD化された『アニメンタリー 決断』(筆者撮影)

 但馬氏の『世界の子供たちに夢を』によれば、もともと大人向けの作品として企画されたらしい。放送は日本テレビ、スポンサーはサッポロビールの1社提供で、「ビジネスという戦場の第一線で日々『決断』を迫られている管理職世代の戦中派に向けてアピールする作品づくり」を目指して、戦記物作家である児島襄の原作をもとに製作されている。「実写でこれを描くとなると予算的にも時間的にも到底不可能ということで、アニメでということは早くからの約束事項だったという」とある。『アニメンタリー 決断』はそもそも大人向けの作品だったのだ。

 今回このコラムを書くにあたって、あらためて全25話625分(最終話の26話は本編とは関係ないのでDVDには収録されていない)を視聴してみた。全編を通して視聴したいま、確かに大人こそ見るべきアニメ作品だと深く納得した次第だ。

日米両軍の双方から複眼的に見る

『アニメンタリー 決断』放送の半年前には、日米合作のハリウッド映画『トラ・トラ・トラ!』(1970年)が上映されている。太平洋戦争の初戦となった真珠湾(=パールハーバー)の奇襲攻撃を日米双方から描いた戦争映画である。この映画も私はリアルタイムで見ている。戦中派の親につれられて見にいったからだ。親と一緒に映画館で見た数少ない映画の1本である。

「トラ・トラ・トラ」とは、「ワレ奇襲ニ成功セリ」という符丁のことである。12月8日午前零時を期して戦闘行動を開始せよ」の意味の「ニイタカヤマノボレ一二〇八」と対になっている。

 戦争映画というものは、一般的に自国の立場に立って製作される作品が大半だ。日本映画であれば日本の立場から、米国映画であれば米国の立場が基本であり、対戦相手の交戦国はあくまでも従属的な位置づけとなる。もっぱら製作サイドの問題であるが、敵国の将兵が登場しても、あくまでも引き立て役である。しかも、敵国側の登場人物の数も相対的に少ない。