1Fと同じ方式であるBWRの再稼動は遅れている。2020年度以降は、女川原発と島根原発(いずれもBWR)の再稼働が期待されているが、すでに再稼働に関連する許認可を得た日本原子力発電・東海第二原発2号機の安全対策費が約3000億円にまで増大したように、審査合格のための安全対策工事費が膨れ上がってきている。
安全対策費の増大により、採算確保の見通しが立たなくなり、廃炉を決定する原子炉も相次いでいる。このままでは、2030年度の電源構成に占める原子力比率を20~22%にするという国の目標を達成するのは困難になるだろう。
その廃炉については、海外から協力の申し出が相当数寄せられている。大きなビジネスチャンスになるとの思惑からだ。
日本の再エネ導入コストは欧州の倍以上
エネルギー自給率は、固定価格買取制度(FIT)による太陽光発電の急増で9%台にまで回復(2016年8.3% → 2017年9.5%)したが、原発がほぼフル稼働していた1F事故前の約20%には遠く及んでいない。
今後の主な電源は、「天然ガス」「石炭」「原子力」「再エネ」の4者とされている。そしてこれらからなる電源構成の中で、再エネの比率は2030年には22〜24%とすることが目標とされている。
だが再エネは、導入コストが高いことが大きな課題だ。実は日本の再エネ導入コストは、大幅なコスト低減を実現した欧州の倍以上の水準なのだ。
当然、電力会社が買い取る「再エネ買取費用」も高騰する。2019年度では、再エネ買取費用の総額は3.6兆円。このうち、化石燃料から再エネに置き換わることで支払わなくて済む化石燃料代を差し引いたものが、再エネ導入のための純粋な追加負担金、すなわち「再エネ賦課金」となるわけだが、その総額は2.4兆円となる。
FIT認定案件が今後とも順次稼働し始めるため、再エネ買取費用も、再エネ賦課金も、当面は毎年上がり続ける。その前提に立てば、再エネ買取費用の総額は、2030年では3.7~4.0兆円にまで増える見通しだ。
FIT施行後に爆増した事業用太陽光(メガソーラー)のkW当たり買取価格については、2012年40円 → 2019年14円 → 2022年8.5円 → 2030年7円という方向性が示されているが、それでもこの有様なのだ。