日立製作所、英原発建設計画の凍結を決定

滞りをみせていた英ウェールズの原子力発電所建設計画について、資金面の問題から凍結すると発表した日立製作所の東原敏昭社長(2019年1月17日撮影)。(c)Behrouz MEHRI / AFP〔AFPBB News

 前回は、世界の大半の国々は「脱原発」どころか、「原発推進」に向かっている状況を説明してきた。今回は、日本の状況について見ていきたい。

前回記事:「脱原発」は世界の流れに逆行するhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56257

 日本では、2011年3月の東日本大震災による1F事故から早いもので8年が過ぎた。その間、国の原子力規制委員会による新規制基準に基づく審査に合格して再稼働した原子炉は9基。審査を通過して対策工事などに取り組んでいるのが6基、今なお審査中は12基もあり、今年中に再稼働が見込まれる原子炉はゼロという状況だ。

 日本で利用されている商業用原子炉には、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)がある。1F事故がBWRであったからか、1F事故後に再稼働をした原子炉は全てPWRである。

安全対策費増大で廃炉を決める原発も

 1F事故は確かにあってはならない事故だった。しかし、震災によっても福島第二、女川(宮城)、東海第二(茨城)などの他の被災原発は事故に見舞われることはなかった。まして被災していない他の原発は、浜岡原発が当時の政権からの要請で停止させられた以外は、震災後も定期検査で停止するまでは正常に稼働していた。

 しかし1Fの事故以降、定期検査後、新規制基準に適合しているかどうかの審査に合格していない原発には再稼働の許可をしないという、世界的にも異常極まりない規制運用が敷かれるようになってしまった。しかも、その審査は「牛歩」の如く遅々としている。

 新規制基準を設置するのは何ら問題ない。だが、本来ならば、原発を稼働させながら新規制基準の適合に向けた審査や工事をするのが常道だ。ところが、日本の原子力を巡る政治・行政はそうしていない。まさに日本独自の、異様な「ガラパゴス」状態に陥っている。

 原子力はベースロード電源と位置付けられているほど重要なものなのに、どうしてこのような「牛歩審査」が原子力規制委に定着してしまったのだろうか。審査の牛歩化によって、巨額投資がなされてきたプラントの先行きが見通せない空白期間はどんどん長引くばかりだ。