中国人民解放軍海軍の創設70周年記念国際観艦式のため、旭日旗を掲揚しながら青島港に寄港する海上自衛隊の護衛艦「すずつき」(写真:ロイター/アフロ)

 4月23日から山東省・青島港で開かれた「中国人民解放軍海軍創設70周年記念国際観艦式」のニュースは韓国でも少なからず話題になっている。特に、旭日旗を掲揚したまま中国に入港した日本の海上自衛隊の護衛艦「すずつき」の姿は、「日中の急接近」の象徴として、厳重に受け止められている。

 一方の韓国では、昨年の10月、済州島で開かれた国際観艦式で、文在寅(ムン・ジェイン)韓国政府が日本の海上自衛隊の旭日旗掲揚問題をめぐってもめにもめた末、日本側から参加をボイコットされるという前歴がある。

 それなのに、歴史問題において「味方」だと思い込んでいた中国の習近平政府が、自国の国際観艦に旭日旗を容認したのだ。これは文在寅政権にとって衝撃だった。今、韓国マスコミでは「日中密着」に対する警戒心とともに、「韓国だけがアジアで孤立するのではないか」と憂慮の声が高まっている。

「文在寅政権に対して日米が不信を表わすのも無理はない」

 保守系中央日刊紙「中央日報」は、『日中、北露の活発な接近は、果たして他人事なのか』(4月22日付)という社説で、急変している北東アジア情勢において、韓国だけが外交的に孤立する恐れがあると警告した。以下、内容の一部を紹介する。

「中国は23日、青島で開かれる海軍創設70周年記念観艦式に旭日旗を掲揚した日本自衛隊の護衛艦を受け入れるという。(中略)『米国が意に介さないのに、同じ戦勝国の中国がなぜ(旭日旗に)敏感なのか』という反応が出るほど、中国内の対日感情が好転されたおかげだ。

 しかし、韓国政府は昨年10月、済州国際観艦式の時、旭日旗掲揚を許さず、結局日本艦艇は参加を見送った。韓国が過去に縛られていたのに対して、中国はこれ(過去)を克服する姿を見せたわけだ。このような状況が繰り返される限り、日本が中国ではなく韓国と未来をともに考えるわけがない」

「最近、目まぐるしく動いている朝鮮半島周辺情勢下で、韓国が決して見逃してはならないことがある。昨年、安倍晋三総理の中国訪問で象徴される日中間の驚くべき和解の速度だ」

「新たに近づくのは日中だけではない。24・25日に決まった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とプーチン・ロシア大統領間の首脳会談を通じて、ギクシャクしていた北露関係を新しく構築するに違いない」

「韓国はどうなのか。韓国は友好国との関係を改善するどころか、伝統的な韓日米のトライアングル安保体制からも切り離されている。文在寅政権に対して日米が不信を表わすのも無理はない。だから韓米同盟が崩れつつある中、日米間の軍事協力は日増しに強固にならざるを得ない」