金 「我々のせいで文大統領が国家安保会議(NSC)に出席するため、未明によく眠れなかったそうですが、未明に起きるのが習慣になってしまったのでしょうね」
文 「金委員長が特使団に、(ミサイル発射などを中止すると)先制的におっしゃってくださり、今後は安心して眠れそうです」
金 「これからは、文大統領がぐっすり眠れるよう、私が保証します」
「もう未明に起きなくてよいと伝えてくれ」
つい1年ほど前にあたる2018年4月27日、板門店で開かれた第1次南北首脳会談で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領に、こう約束した。
2017年5月9日に出帆した文在寅政権は、初めの6カ月の間、11回に上る北朝鮮のミサイルや核挑発に悩まされた。北朝鮮が挑発を重ねるたびに、文在寅大統領は大統領府の地下バンカーに入り、NSCを召集しなければいけなかった。同時に、韓国社会では文大統領の「対北融和策」に対する批判が高まっていった。
それが2018年になって状況が急変した。2018年1月、金正恩委員長は新年の挨拶で、突然、「韓国の平昌(ピョンチャン)五輪に代表団を派遣する用意がある」と発表し、文在寅政権に融和ジェスチャーを送り始めた。