(右田早希:ジャーナリスト)
「韓国国民が期待を寄せていた文在寅大統領とトランプ大統領の韓米首脳会談は、北朝鮮問題を巡って、まったくの物別れに終わりました。それだけに文在寅政権は、国民の批判の目をそらそうと、躍起になって『判決』を宣伝しているんです」(在ソウルのジャーナリスト・朴英南氏)
スイスのジュネーブにあるWTO(世界貿易機関)の上告委員会は、現地時間の4月11日午後5時過ぎ(日本時間12日深夜0時過ぎ)、韓国による日本産の食品輸入禁止措置を「不当とは言えない」とする最終判断結果を発表した。
1審は日本の完全勝利だったが・・・
この紛争はもともと、2011年3月の福島原発問題で、世界54カ国・地域が、福島県産食品などに輸入禁止措置を取ったことに端を発する。各国・地域はその後、規制を緩和していったが、当時の朴槿恵政権は、日韓関係の悪化の影響もあって、2013年に逆に規制を強化。福島、青森、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の8県産のすべての食品や水産物に拡大したのだった。
これを不当とする安倍晋三政権は、2015年に、韓国をWTOに提訴。昨年2月に1審にあたる紛争処理小委員会は、「韓国の輸入規制はWTOルールに違反する」として、韓国に対して是正勧告を出した。完全な日本の1審勝利だった。
韓国はこれを不服として、2審にあたる上級委員会に上訴した。そして今回は、韓国が「逆転勝訴」したのである。今回の発表がWTOとしての「最終判定」にあたるため、30日以内にWTOの全加盟国会合で示されて採択、確定することになる。