企業が1、2年生の教育に乗り出す本当の狙い

 では学生側の考え方はどうなのか。今後、新卒一括採用の就活ルールが取り払われると、どのような影響があるのか。

 「日本では長年、いい大学に入ればいい会社に就職できる、というレールがありましたが、就活ルールの廃止によってそのレールもなくなっていくことになります」

 「そうなれば自分の人生は自分で考えて決める、という自立した考え方が学生には求められるようになります」

 「当然、大学による格差も広がり、たとえ同じ大学であっても個々の学生の意識や動き方によって格差が広がるでしょう」

 自分で自分の道を決めるのは当然のことのようだが、新卒一括採用が行われていた間は必ずしもそうではなかったという。

 「自分で決めるということは、自分で情報を集め、気になる企業でインターンシップやアルバイトを通じて働いてみるなど、自ら探し、エントリーし、体験し、考え、選ぶといったプロセスが求められます」

 「しかしそれには時間がかかります。そうすると就活シーズンに入ってからでは間に合わないのです」

 「かといって大学で学ぶだけでは社会で働くうえで必要とされるスキルや知識、基礎的な経験を積むことができないのが現状です」

 「そこで優秀なグローバル人材を欲しい企業が、高いポテンシャルを持つ学生のために、大学では得られない学びの場を作り始めたというのが今の動きです」(谷出氏)

 これまで企業では就活を迎える3年生を対象にしたインターンシップに力を入れてきた。

 文部科学省はインターンシップを採用活動とは切り離すよう企業側に要請してきたが、ここ数年は採用活動のファーストステップになっているのが実情だ。

 企業が1、2年生を対象に教育プログラムを提供しているのは、今のインターンシップを低学年にスライドしたただけの、採用活動の一環なのだろうか。