そうしてマネージャーと学生で濃密なやりとりが続く中で、13時から18時までたっぷり5時間。学生たちにトップ企業の実際のマーケティングのあり方や考え方が伝えられた。

 イベントを終えた会場で、参加した学生に感想を聞いてみた。

 慶應大学の4人チームは、英国の大学への短期留学で一緒だったメンバーで編成。

 「卒業後はP&Gでマーケティングの仕事をすることを希望していまして、そのためにも実際に働くブランドマネージャーから学びたいと今回のイベントに参加しました」(慶應大学商学部2年生・安西雄太朗さん)

 就職を見据えた参加だけに、優勝にかける思いも強い。

 「一般のビジコン(ビジネスコンテスト)では、実現性に疑問を感じるプランが選ばれることが多いと感じていました」

 「しかし、この『マーケッターズ・ハイ』は実行に移すことを前提にしているところが新しいと思います。ぜひ優勝してプランを実行する体験をしたいです」

 そう意気込む安西さんを、他の3人がサポートする。

 同志社大学(2人)と大阪芸術大学(1人)の混成チーム。朝4時台に起きて、新幹線で会場にやって来たという。

 「外資系企業に興味があって参加しました。大学では政策を学んでいますので、マーケティングは専門ではありませんが、今日お話をうかがってみて、大学で学んだことはビジネスにも十分、応用できるという確信を得ました」

 「学生ならではのアイデア、視点を大事にしたプランを考えたいと思います」(同志社大学政策学部2年生・稲垣志桜里さん)

 「参加するからには優勝を狙おう」と、同じクラスの優秀なクラスメートのほかに、各種制作物のデザインのことも考慮し、芸大の学生を組み入れたチーム編成で臨む。

 同じゼミで学ぶ京都大学経済学部の4人チームも、この日、京都から東京まで来たという。

 「大学のゼミでも実際の商品を取り上げた授業がありますが、そこで学べる知識は断片的なものでした」

 「今日はP&Gの4つの商品に関するマーケティング施策のお話が聞けて、一連の流れを体系的に理解することができとても有意義でした」

 「大学では知識を学び、考えを深めることはできても、実際に商品を売る体験はできません。その点で、実際に社運をかけて商品を売ってきた企業担当者のお話は一味も二味も違いました」

 「ぜひ優勝してその体験をしてみたいです」(京都大学経済学部2年生・山東丈将さん)

 こうした言葉からも、企業のことを知りたいとの強い意欲を持ち、大学ではできないリアルな体験を熱望していることがわかる。

 彼らは1、2年生からすでに卒業後のキャリアについて真剣に考え、望む企業に就職するための取り組みをはじめているのだ。