前回は、加熱式たばこ「IQOS」を生み出したフィリップモリスの研究開発施設「CUBE(キューブ)」(スイス・ヌーシャテル)に赴任している1人の日本人、佐藤圭吾さんの時間に追われない働き方を紹介した。
営業一筋でやってきた佐藤さんが海外赴任を希望したのは、ビジネスマンとして新しい武器となる力を身に着けたいと望んでいたからだ。
では、彼の希望を受け入れ、日本から社員をキューブに送り込んだフィリップモリスジャパン(PMJ)の意向とはいかなるものだったのか。
今回は、スイスと同様の働き方を導入している、東京・永田町のPMJ本社を訪れ、社員の働き方に対する考え方を尋ねる。
IQOSの誕生が社内変革を迫った
佐藤さんが会社からからキューブへの赴任が打診されたのは昨年の5月。
ビジネスマンとして新しい武器を身に着けるには、絶好のチャンスと快諾したが、心配だったのは英語力だ。日常会話にも自信がなかったという佐藤さんは、会社に英語力養成の支援を願い出る。
それを受けてPMJは佐藤さんのために特別プログラムを用意した。
加えて8、9月の2か月間、仕事を離れてフィリピンの英語学校に入学することも了承し、バックアップした。
佐藤さんが自社のことを「社員に投資を惜しまない会社」と語るのもうなずける。
では社員にそれだけの投資をする会社側の意図とはどのようなものか。東京の永田町にあるPMJ本社を訪ねた。
「佐藤の言う通り、フィリップモリスが積極的に社員に投資する企業だというのは、その通りだと思います」
「とはいっても全員が佐藤のように希望をかなえられるわけではありません。彼自身が営業の仕事で結果を出してきたからこそ、与えられたチャンスでした」
PMJでサイエンス・コミュニケーションを統括している飯田朋子氏はそう語る。