IQOS(アイコス)やPloom TECH(プルームテック)、glo(グロー)などの「加熱式たばこ」が爆発的にヒットしたことで、社会に少しずつ「加熱式たばこ」を受け入れる空気が漂い始めている。
政府や地方自治体も紙巻きたばことは違う枠組みで規制を考えるよう動き始めた。いずれは人が集まる場所やレストラン、飲食店などでの使用を巡って、非喫煙者の反応も問われることになりそうだ。
加熱式たばこが急激に喫煙者に支持されたのは、有害物質を大幅に低減しながらも紙巻きたばこと同様の満足感が得られるうえに、受動喫煙の心配がないというところにある。
しかしそのための実証データはたばこ会社が提供しているもので、信用に値するものなのかどうか、誰も判断できない。
そこで加熱式たばこが研究開発されている現場を実際に目で確かめようと、スイスにあるフィリップモリス・インターナショナル(PMI)の研究開発施設に赴いた。今回はその取材の模様を中心にリポートする。
「ハームリダクション」とは何か
ジュネーブ空港に降り立ち、そこからローザンヌ方面に特急列車で向かうこと約2時間。ヌーシャテルという駅で電車を降りた。
ヌーシャテルは今も中世の面影を残す人口3万人ほどの小さな街。目の前に美しいヌーシャテル湖を望む風光明媚なリゾート地だ。
その街の中心部から少し離れた湖畔にある、四角いガラス張りの建造物がPMIが世界に誇る研究開発施設「CUBE(キューブ)」。
キューブはPMIが「リスクを低減する可能性のある製品(RRP)」を専門に研究開発する施設として2008年に作られ、アイコスもここで生み出された。
世界から優秀な科学者やエンジニアら430人が集い、研究開発に携わる。その国籍は50か国に及ぶ。