イトーキでは、こうしたアプリを中心に、さまざまなIT技術を導入し、ABW導入による生産性向上の効果を高める考えだ。

オフィス専用のアプリを自社開発。今後サービスとしてリリースすることも視野に入れているという。図の一番右が、作業割合の現状と理想を把握できる画面。
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「働く」を再定義するきっかけに

 一般企業が、オフィス関連メーカーであるイトーキのように、最初から活動ごとに完全にマッチした「場」をオフィス内に整備し、関連システムを導入するとなると、ハードルが高いと感じる方も多いかもしれない。

 そのため、ABW導入を検討する際は、設備からではなく、まずは、各人がどのような「働き方」をしているのか、活動を把握・分析してみることから始めるのがよさそうだ。

 活動を洗い出すことが「オフィスに出社する意味」を考えることにもなり、最適なテレワーク設計にもつながるだろう。

 そして、いざABWを導入し働く場所が選べるようになると、「働く側」にとっては、自由が与えられると同時に、「働くこと」に対する自主性や生産性がより求められることなるはずだ。少なくとも「とりあえず会社の自席につくことで仕事をした気分になる」という働き方は許されなくなるからだ。

 ABWのような働く人の活動を中心とした考え方が、従業員満足と生産性向上を両立する「働き方」実現に向けた糸口の1つになることを期待したい。