(小林 麻理:ライター、社会保険労務士)
2018年12月3日、オフィス関連事業を展開するイトーキが、「Activity Based Working」(以下、ABW)と呼ばれるワークスタイル戦略を自社の東京オフィスに導入したことを発表、同オフィスを公開した。ABWの中身とその実践方法とは、どのようなものだろうか――。
働く人の「活動」から最適な場所を考える
オランダ発祥のABWは、「働く人の活動」を起点として「働き方」をデザインする考え方。「働く場所があり、そこで働く人が活動する」と考える従来型の発想と逆で、「働く人の活動に合わせて、働く場所を選ぶ」という点に特徴がある。
社内でも働く場所を選べる、という点ではフリーアドレスと同様だが、ABWでは「活動」に合った「場」を選ぶという点が異なる。活動とは、どのようなことか。たとえば、イトーキが自社で洗い出した10の活動は次のとおりだ。
(1)高集中・・・中断されたくない集中作業
(2)コワーク・・・声掛け可の状態で行う個人作業
(3)電話/Web会議・・・(社内では1人だが)外部と協働する作業
(4)2人作業・・・OJTなど2人で実施する活動
(5)対話・・・2人~3人の議論や会話
(6)アイデア出し・・・3人以上の協働活動
(7)情報整理・・・3人以上の計画された会議
(8)知識共有・・・プレゼンを想定した3人以上の知識共有
(9)リチャージ・・・心身のリフレッシュ
(10)専門作業・・・製品開発など設備を必要とする専門作業
同社では、こうした活動それぞれに対応する「場」を整備した。たとえば、主にオフィスの奥に配置された「高集中」の場は、高めのパーティションを設置するなど、デスクワークに集中できる環境を整えている。逆に、「コワーク」の場は、パーティションを低めに設定するなど、声掛けのしやすさに配慮している。