さらに日本は「生き残り、戦い続ける」という宿題もある。

 民間飛行場に日米航空機の弾薬・燃料などを広く集積しておくことは極めて優先度が高いものの一つである。

 また、政府は多用途母艦よりも、米軍の作戦と一体となりながら国土防衛するために、護衛艦から多数の長射程対艦ミサイルを発射できるようにし(LRSAMはイージス艦からも発射可能)また、水中の支配作戦を重視することが先決ではないだろうか。

 日本こそ中国と異なる日本版「非対称の戦力」による勝ち目を追求しなければなるまい。

 いずれにしても、少なくとも1~2か月の、日本にとって長期戦に勝ち抜くためには、地上からの物理・非物理的打撃を基盤とし、陸海空の領域をなくしたクロスドメインの戦いに勝利する防衛大綱・中期防でなければならない。

日本の目覚めは来るのか

 政治もマスコミももっと防衛力の実態を正確に伝えるべきだ。

 さらに中国を日本の避けられない最大の脅威としてとらえ、米国のように決然として立ち向かう覚悟がなければ防衛力は何も改善しない。

 南シナ海を実質、中国の影響下に置き、東シナ海に軍事力をシフトしようとしているのに、両手を挙げて日中友好を歓迎できるのだろうか。

 あえて言うが、弾もなく、現有装備も動かせず、人もいないのが日本の防衛力だ。それを承知のうえで防衛予算の話しはなされているのだろうか。

 一方、新防衛大臣が言及した「防衛予算にGDP(国内総生産)比を掲げるのは適切でない」は正しい。

 ならば、いまだに続く財政の枠ありき、あるいは海空陸の順位づけで予算をつけると言う考え方を捨て、「効果的」で「戦理」に合った必要な防衛費を獲得し、総理が明言された「有事に勝てる戦略」のために予算を組んでもらいたい。

 予算の減額を前提とした効率化一本槍ではなく、本当にそれで「有事」に「国民を守り切れる効果的な防衛」ができるのかの視点が極めて重要である。

 予算を効率化するのは「有事に勝てる戦略」と「非物理的打撃への果敢な挑戦」である。