米陸軍はウクライナでロシアの非物理的打撃に負けたと言われている。中国は不明だが、少なくとも電波妨害は実用化しているだろう。
戦い方の分水嶺:安倍総理の防衛大綱策定指示は的確
このような中で、安倍晋三総理の指示は、日本防衛において極めて希望を与えるものだ。その裏には、国家安全保障局(NSC)が正しく機能していることが読み取れる。
大切なのは、防衛省内局や統幕がその指示の本質を見極めているかどうかである。
9月の自衛隊高級幹部会同での総理の訓示の要点はこうだ。
我が国を取り巻く安全保障環境は、5年前に想定したよりも格段に速いスピードで厳しさを増している。あるがままを見つめ国民の命と平和な暮らしを守り抜くために最善を尽くさねばならないとして
(1)サイバー空間、宇宙空間、さらに電磁波の領域など新たな領域で優位を保つことが死活的に重要(非物理的打撃への挑戦が死活的に重要)
(2)陸海空と言う従来の区分にとらわれた発想ではこの国を守り抜くことはできない(領域横断の戦いの推奨)
(3)宇宙、サイバー・電磁波といった新たな領域を横断的に活用した防衛体制への変革(新たな領域の戦いに陸海空が横断して参画することを期待)
(4)新たな防衛力の完成に10年15年かけて実現するようなスピード感からの脱却(5年を目標に10年をかけないで新たな防衛力を構築(装備化の実現))
(5) 今までの常識はもはや通用しない
これらは絵空事ではない。自衛隊の最高司令官たる総理の決意であり、防衛省や財務省は様々な問題や障害を克服して実現しなければならない。