「スーパー大麦」とよばれる穀物に含まれる食物繊維が、大腸の奥の細菌まで届くという。写真は、スーパー大麦が入ったグラノーラ。

 健康でいられるか、病気になるか。これに大きく影響する「腸内細菌」に目を向けて、腸内環境を改善するために試せることを取り上げている。

 前篇では、多様な腸内細菌たちがつくるコミュニティ「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」(腸内フローラ)の存在が体のさまざまなところに作用すること、また腸内細菌叢の多様性を高めて腸内環境をよくするには、食物繊維がカギを握っていることなどを伝えた。

 だが、食物繊維の摂取による腸内環境の改善を巡っては、長らく課題も指摘されてきた。「大腸の奥の細菌が最も多く生息する部位まで食物繊維がなかなか届かない」という課題だ。多数の細菌がいる大腸の奥にエサが届かなければ、食物繊維を摂る効果は薄れてしまう。

 この課題に対する有効打となりうる食材が、いま注目を集め、食品への実用化も進んでいる。「スーパー大麦」と呼ばれる穀類だ。

 後篇では、スーパー大麦の機能性を見出している研究者に、その大麦の「スーパー」ぶりや、私たちにどんな摂取の仕方があるのかを聞いてみたい。

糖質制限が食物繊維摂取量の減少に拍車をかける

「食物繊維とはどんなものかを、まず、みなさんに知ってもらいたいのです」

 こう訴えかけるのは、帝京平成大学健康メディカル学部教授の松井輝明(まつい・てるあき)氏だ。