そして、チームや現場として、どういった状態を目指すのかを話し合いましょう。業務改善をするにしても、その目的や方向性がすりあっていない状態では、協力しあうことは難しくなります。

 現在の課題と理想の状態を共有したうえで、どこから取り組むべきかアイデアを出していきます。課題や理想に対して同じ方向に目を向けることで、チームの一体感が生まれるでしょう。

ボトルネックを見つけ出すための「見える化」

 小さな業務改善の積み重ねを行う業務ハックですが、目に見える問題に闇雲に取り組んでも効果的ではありません。小さく始めるからこそ、もっとも効果の高いところから着手しなければいけません。

 システム開発の世界では、システムの応答速度が遅くなったときに、応答を速めるよう改善を行います。これをパフォーマンスチューニングと言いますが、その際に重要なのはボトルネック、つまり遅くなっている最も重要な要因を見つけることです。勘を頼りに感覚的にプログラムをあれこれいじっても効果が出にくいからです。

 業務改善も同じ発想で取り組みます。今の業務の中でボトルネックになっている部分を見つけて、そこから改善に取り組むのです。

 そのために使えるツールが「業務フロー」です。業務に関わる関係者やシステムが、どういう順に、何をしていくことで業務が完了するのか、それを示した図です。

 業務フロー図を作成するには、対象の組織構成や社外の業者、やりとりに使う成果物や資料、システム化されている部分とそうでない部分など、現場で暗黙的に知られている情報を見えるようにしていく必要があります。

 業務フロー図を作ることが目的ではなく、それを作成するための情報収集や現場の整理をすることで、解決すべきボトルネックが見えてくるのです。