現場主体で小さな工夫と改善を繰り返していく業務改善の手法を「業務ハック」と呼びます。

 前回は、具体的な業務ハックの取り組みとして、領収書の管理や請求書の発行といったバックオフィスの業務を、人を増やさずに改善してきた方法について紹介しました。

(前回の記事)
総務・経理の社員ゼロで実現するバックオフィス
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53119

 第3回となる今回は、業務ハックに取り組んだ結果として、本社オフィスをなくし、自宅や旅先で仕事ができるようになった経緯と得られたノウハウを紹介します。

社員の自宅は16都道府県にまたがる

 在宅勤務やノマドといった、オフィスに通勤しない「テレワーク」に注目している企業が増えてきました。うらやましいと思いつつも、ちょっと難しいなと感じている人も多いのではないでしょうか。

 私たちの会社では、創業当初の7年前からテレワークに取り組んできました。今では、社員の自宅が16都道府県にまたがり、半数以上は東京圏以外に住んでいます。その結果、2016年には遂に本社オフィスもなくしてしまいました。

 場所は離れていますがチームワークを発揮して働いています。「ちょっといい?」なんて声をかけあって、気軽に相談したり助け合って働いたりするのは、普通の会社と変わりません。

 そんなこと自分たちには無理だと思われるかもしれません。たしかに明日からいきなりオフィスをなくして、全員テレワークというのは難しいでしょう。しかし、私たちも昔はオフィスに通勤して働いていたのです。当時の私たちも、今みたいな働き方ができるなんて、想像していませんでした。業務の流れや無駄な作業を見直してクラウド化していく業務ハックを続けてきたことで、今のような働き方にシフトすることができたのです。

オフィスに縛り付けるものをクラウド化で解消

 私たちがテレワークを始める前に取り組んだのは、物理的な制約をなくしていくことでした。とはいっても、はじめからテレワークを目的としていたわけではなくて、自分たちの業務を効率化するためだったのです。