中国のコラムで人気の宮家邦彦さんの記事が中国を代表するネットメディアに転載された。と言っても、私たちが英エコノミスト誌や英フィナンシャル・タイムズ紙の翻訳権を得て記事を掲載しているのとは違う。無断転載だ。

中国の代表的なメディアがJBpressから無断転載

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 環球網に載ったのは、宮家さんのこの記事「なぜ日本人の対中親近感は急降下したのか」だった。

 10年前に比べて日本人が中国に親しみを感じると答えた人が20%も急落、その理由を分析したものだった。

 恐らく、中国にとっても日本人の気持ちの変化は注目すべきテーマだったのだろう。

 しかし、環球網は環球時報という人民日報系の国際評論を専門とする新聞社が運営するネットメディアである。中国を代表するネットメディアの1つと言っていい。

 そこが、発行元である私たちに何の連絡も、もちろん翻訳権の話もなく、勝手に記事を翻訳して掲載する。

 しかもご丁寧なことに、宮家さんの記事の中から天安門事件に触れた部分はすべて削られている。記事に改竄を加えているわけだ。

 宮家さんの元の記事にはコメントが3通寄せられていたが、環球網に載った記事には260通ものコメントがついている。

 宮家さんによるとそのほとんどが日本人と日本に対する罵詈雑言だという。

 さすが中国の大手メディア。その影響力は計り知れないと脱帽させられるが、中国を代表するメディアが著作権など全くお構いなしというのはいただけない。

 欧米や日本ではあり得ない話だが、中国ではまかり通る。日本を抜いて世界第2位の経済大国にのし上がった中国は、いつまで国際的なルールを無視して自分勝手を貫くのだろう。