普段会えない旧友からの年賀状は正月の楽しみの1つだが、2011年は「今年は中国の年ですね!」といった添え書きがやたら目についた。やはり多くの日本人は中国の台頭と日中関係の行方を懸念しているのだろうか。

 日本人の対中観を示すデータとしては、毎年12月に発表される内閣府の「外交に関する世論調査」が結構面白い。北京在勤時代(2000~2004年)は年の瀬になると、この調査結果に一喜一憂したものである。

 我々は1972年以来、中国を正しく理解できているのだろうか。今回は、年初に当たり改めてこの問いに答えるべく、件の内閣府データを基に、過去30年間の日本人の対中観の推移を振り返ってみることにした。

急落した日本人の対中親近感

中国各地で反日デモ、尖閣領有権や日本製品ボイコット掲げ

尖閣事件のあと、中国各地では反日デモが頻発〔AFPBB News

 2010年10月に行われた最新の調査によれば、「中国に親しみを感じる」と答えた日本人は全体の20%に過ぎず、逆に「親しみを感じない」と回答した割合が過去最悪の77.4%になったそうだ。

 前回2009年10月の調査では「親しみを感じる」が38.5%あったので、今回は実に18.5%の急落となった。

 昨年10月と言えば、尖閣事件で日本中が大騒ぎしていた時期ではあるが、それにしても、わずか20%とは驚くべき数字ではないか。

 こうした「急落現象」は、対中親近感に関する調査が始まった1978年以降3回起きている。最初は1989~1990年の16.9%下落、2回目が2003~2004年の10.3%、そして3回目が今回の18.5%だ。重要だと思うので、もう少し詳しく見ていこう。

1980年代までは蜜月期

 日本人の中華人民共和国に対する親近感は1972年の日中国交正常化以降急速に改善し、1980年には実に78.6%に達している。筆者自身も、国交正常化の翌年に大学に入学し、当然のごとく第2外国語として中国語を選んだ。

 当時の中国語教科書といえば、「農業学大寨、工業学大慶(農業は大寨に学び、工業は大慶に学ぶ)」「批孔批林(孔子と林彪を批判する)」といった「文革」路線丸出しのもので、中国に淡い夢を抱いていた筆者は大いに面食らったものだ。