21世紀の最初の10年が終わりを告げた。中国国内では「新世紀最初十年」というテーマで、政府機関、シンクタンク、大学など様々な場で、総括会議が開催されている。
岐路に立つ中国
メディアでは、中国で最も権威のある週刊誌の1つで、広州を拠点とする《新週刊(NEW WEEKLY)》が各社を代表して特集を組んだ。
国際関係、経済、社会、政治、文化、メディア、文字、インターネット、エンターテインメントなど、各分野において有識者を1人選出し、政府と民間をつなぐ「パブリックリポート」を、大衆向けに出版した。
光栄にも、筆者は、「矛盾する時代、岐路に立つ中国」というタイトルで、第1章の国際関係を担当させてもらった。
政治体制、人権、法治化、自由化、民主化など、中国が解決しなければならない問題が山積みであることに疑いはない。胡錦濤国家主席を中心に、政策決定者・立案者たちは自国の問題点を明確に自覚している。
筆者は、官民が一体となり、トップダウン・ボトムアップの双方向で、「21世紀最初の10年」を徹底検証した、という中国世論のダイナミズムを評価している。そのプロセスに食い込ませていただいている現状から学ばされることも多い。
共産党成立90年、辛亥革命100周年
2011年は中国にとって、「共産党成立90周年」「辛亥革命100周年」「第12次5カ年計画初年」などシンボリックな様相を呈するが、官民問わず、各界の有識者たちが民衆を巻き込んだ形で、徹底的に議論していくことだろう。
漠然と中国をべた褒めすることが筆者の活動意義でないことは百も承知のうえで主張したい。日本が末永く、上手に付き合っていかなければならないお隣の国では、政策議論が365日・24時間行われている。
台頭する巨人を前に、私たち日本人は健全な危機感を持つべきだ。「俺たちは民主主義をエンジョイしている。自由も人権もあるんだ!」など、自己満足に陥っている暇はない。
日本人は「21世紀最初の10年」を総括しただろうか。「失われた20年」の徹底検証プロセスに民衆をコミットメントさせるプラットフォームを創造しただろうか。