事業仕分けで、民主党のある議員が次世代スーパーコンピューターの開発について「2番目じゃダメなんでしょうか」って言った。
日本は資源がないから明治時代以降、智慧を絞って工夫をしながらものをつくり、技術で飯を食ってきた。ものづくりは国の基幹産業で、技術はその肝だ。日本は技術で世界をリードしていかないと国がもたないんだよ。
国益全体を考える見識があったなら、2番目じゃどうしていけないんですか、なんて言えないよな。
自民党は「日本を立て直す! いちばんの国を目指して。」っていうのが、新しいスローガンらしい。おれは自民党でも民主党でも、どっちでもいいから、とにかく、政治家は国民のために日本を良くするために心血をそそいで働いてほしい。それだけだ。
おれは正直言って政治には興味はないんだが、自民党の小池百合子さんが、おれの講演の評判を聞いて、1月23日に開かれる党大会で話をしてくれっていうんで、出かけることにした。
ウチのウリはすっかり「痛くない注射針」だけど、小池さんは開口一番「今日は自民党にイタい注射を打ってくださいね!」って言うから、なかなか洒落が利いているなって思ったよ。
3000人を前にアドリブで講演スタート
おれは、黒いスーツに銀のネクタイを締めて、うちの会社はバッジがないから自動車会社のアウディからもらったヤモリのバッジをつけていったんだ。
講演の前に谷垣禎一総裁、大島理森副総裁、石原伸晃幹事長に迎えられて写真を撮るとき、谷垣さんが、「このバッジ、何ですか?」って聞くから、「これはアウディのマスコットマークなんですよ。ヤモリは足に吸盤がついているから滑らない。アウディは四輪駆動がウリだから雪道でも滑りにくいってんでヤモリがマスコットマークなんですよ」って言ったら、石原幹事長が間髪入れずに「滑らないっていうんなら、そのバッジ、私たちも選挙の時には必要ですね」って。さすが、大作家の息子、こっちも洒落が利いている。
講演時間はたったの15分だ。おれは何を話そうか、おぼろげに考えてはいたが、開会宣言のあとで国家斉唱、公明党の山口那津男代表、経団連の米倉弘昌会長の話が終わって、あっという間におれの順番がきた。
司会の三原じゅん子参議院議員から「岡野様は、『誰にもつくれないものをつくる』をモットーに、痛くない注射針の開発を成し遂げられました。他にも画期的な技術を開発され、これらは世界の大企業やNASAなどに導入されるという実績をお持ちでございます」って紹介されて、おれは壇上に上がった。