トランプ氏「米国第一」の新安保戦略 中ロに強硬姿勢

米首都ワシントンで、自身の政権の国家安全保障戦略について演説するドナルド・トランプ大統領(2017年12月18日撮影)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB〔AFPBB News

 かねてより法律化の努力が続けられていたアメリカ海軍艦艇数を飛躍的に増強する法案がアメリカ連邦議会上院を通過し、トランプ大統領によって署名され、「Securing the Homeland by Increasing our Power on the Seas Act」(「海軍力を強化して国土を保全する法律」通称“SHIP法”)として法律化された。これによって、アメリカ連邦議会そしてアメリカ政府は、アメリカ海軍の主力戦闘艦艇を355隻以上に増加させなければならなくなった。

トランプ大統領の公約

 トランプ大統領は大統領選挙期間中、国防力強化と雇用維持拡大の双方の観点から、「350隻海軍の建設」を公約として打ち出していた。現在、公式には278隻とされているアメリカ海軍の主要戦闘艦艇を350隻に増強して、かつて世界中の海に睨みを効かせていた“大海軍”を復活させようというのである。

 アメリカ海軍当局も、トランプ大統領の「350隻海軍建設」と歩調を合わせて「355隻海軍建設」の実現が必要不可欠であるとの主張を展開し続けてきた。なぜなら、中国海軍の飛躍的な戦力増強や、南シナ海、そして東シナ海への膨張主義的拡張政策の伸展、それにロシア海軍力の復活の兆し、それに対テロ戦争の海洋への波及などに対処するには、現有海軍力では対処しきれなくなってしまったからである。

 もっとも、主力戦闘艦艇355隻でも中国海軍をはじめとする海洋での脅威に太刀打ちするには心許ないと考え、400隻あるいは500隻といった大海軍建設を主張する海軍戦略家も少なくない。