(文・写真:木口マリ)
人口10万人あたりに6例未満の頻度で発生する、“まれ”ながんである「希少がん」。その定義ができたのは、今からほんの数年前の2015年のことでした。その翌年、2016年のがん対策基本法の改正では「希少がんの研究促進」が盛り込まれるまでになり、世の中の関心も高まってきています。
引き続きお話をうかがうのは、国立がん研究センター骨軟部腫瘍科長であり、希少がんセンター長の川井章先生。今回は、2018年2月に記念すべき第1回の学術集会を開催する「日本サルコーマ治療研究学会」から考えるこれからの医療についてお聞きします。聞き手は軟部腫瘍体験者でオンコロスタッフの鳥井大吾です。(最終回/全3回)
第1回記事:「希少がんに立ち向かう医師の想いと新たな時代への医療」
第2回記事:「希少がんの『情報格差』を乗り越えるチャレンジ」
医療の進歩により、学会の柔軟性も重要に
鳥井:「第1回日本サルコーマ治療研究学会(JSTAR)学術集会」が、2018年2月23〜24日に東京にて開かれます。記念すべき第1回目ですね。肉腫(サルコーマ/骨軟部腫瘍)を学ぶ場というのは、これまでもあったのでしょうか。
川井:肉腫の多く(60~70%程度)は整形外科が診療する四肢や体幹の骨軟部組織から発生することから、日本整形外科学会の主宰する3学術集会の一つとして日本整形外科学会骨軟部腫瘍学術集会があります。今年、50周年を迎えました。
鳥井:骨軟部腫瘍学術集会とは別に、新たに学会を開く必要があると思われた、その背景を教えてください。