
2025年3月10日、一般社団法人オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)が主催するシンポジウム「自治体DX待ったなし!デジタル活用のシナリオ」が東京・平河町の全国町村会館で開催されました。
(平井卓也・自民党デジタル社会推進本部長の基調講演についてはこちらのリンクからお読みください)
本シンポジウムは、自治体のデジタル変革(DX)を推進するために必要な技術や政策、標準準拠システムの活用方法について議論する場として、多くの自治体関係者や専門家が参加しました。
デジタル庁や総務省の関係者、先進的な自治体のリーダーが登壇し、自治体DXの現状と今後の展望について熱く語りました。
本記事では、シンポジウムの主要なセッションとともに、自治体DXの未来についてリポートします。
開会の挨拶は、当協会の会長である中央大学の須藤修・国際情報学部教授からAIの自治体利用の重要性が話されました。
自治体DXの最前線を語る基調講演
吉田泰己氏:デジタルマーケットプレイス(DMP)を通じた行政によるSaaS調達について
デジタル庁の吉田泰己企画官が「デジタルマーケットプレイス(DMP)」の活用について講演しました。
DMPとは、自治体がより迅速にクラウドサービス(SaaS)を調達できるようにする仕組みであり、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)のカギとなるシステムの一つです。
吉田氏は「自治体が個別にシステムを開発するのではなく、既存のクラウドサービスを利用することで、迅速かつ効率的なデジタル化が可能になります」と説明しました。
また、自治体がDMPを活用することで、システムの導入コストを抑え、より多くの業務にデジタル技術を適用できる点を強調しました。
しかし、一方で「どのSaaSを選択すべきか、自治体職員にとって判断が難しいという声もあります。そのため、適切なガイドラインや研修の提供が今後の課題となるでしょう」と述べました。
このシステムは今後民間にも開放し、デジタル資源の重複が起こらないようにしたいと語っていました。
石川紀子氏:掛川市役所の全庁改革が示す自治体DXの可能性
掛川市副市長兼CDO(最高デジタル責任者)の石川紀子氏は、掛川市が進めている全庁改革について講演しました。
掛川市は、「デジタルはまず市役所から」をかけ声に、AIを活用した行政手続きの自動化や、市民とのオンライン対話の強化を進めており、全国の自治体DXのモデルケースとして注目されています。
「自治体DXは単なるIT化ではなく、組織文化の変革そのものです」と石川氏は強調しました。
石川氏は、NEC出身であり民間のIT企業から掛川副市長になったこともあり、デジタル適任者です。
掛川市では、デジタル技術の導入だけでなく、職員の意識改革にも力を入れており、これが成功のカギであると述べました。
また、「システムを導入しても、職員がうまく活用できなければ意味がありません。そのため、自治体のDX推進には、技術と人材育成の両方が必要です」と語り、自治体職員のデジタルリテラシー向上の重要性を訴えました。
今はまだまだだが、オンライン70%、紙30%を目指そうとしているとのことでした。
