
デジタル人材の育成はどうすべきか?
最後に、ディスカッションは「デジタル人材の育成」に焦点を当てました。自治体DXの成否は、デジタルツールを扱う人材のスキルに大きく左右されます。
松本一善氏(OGC SaaS利活用研究会リーダー):
「デジタル人材を育成するためには、単なる研修ではなく、自治体職員が実際にデジタルツールを使いこなす機会を増やすことが重要です」
「 例えば、自治体の業務フローにSaaSを組み込むことで、職員が実践的にデジタルツールを活用できる環境を作るべきです」
また、民間企業ではDXが進む中で、自治体の職員と民間のデジタル人材との格差が広がっているという指摘もありました。
高橋範光氏(モデレーター):
「自治体のデジタル人材育成をどのように進めるべきか、民間との協力体制を築くことも重要になってきています」
「デジタル庁や総務省が主導する形で、全国の自治体にデジタル教育を提供する仕組みを作るべきではないでしょうか」

技術と人材の両輪が鍵を握る
パネルディスカッションを通じて、自治体DXの未来を見据える上での重要なポイントが明らかになりました。
セキュリティ対策の強化が必須—地方自治法の改正を受けて、自治体はより高度な情報保護対策を講じる必要がある。
自治体職員のデジタルリテラシー向上が不可欠—デジタルツールを扱うスキルの底上げが求められる。
アクセス管理を徹底することでセキュリティ向上—各自治体のドメインを活用し、適切なアクセス制御を実施する。
デジタル人材の育成がDXの成否を決める—民間のDX人材と連携し、実践的な研修を強化する。
自治体DXは単なるシステム導入ではなく、行政のあり方そのものを変革する取り組みです。
そのためには、最新の技術を取り入れながら、デジタル人材の育成に本腰を入れることが不可欠です。
自治体DXの未来に向けた本格的な取り組みは、これからが正念場となるでしょう。
今回のシンポジウムを通じて、自治体DXは単なるシステム導入ではなく、行政のあり方そのものを変革するプロセスであることが改めて浮き彫りになりました。
DMPの活用や標準準拠システムの導入が進む一方で、自治体職員の負担やデジタルリテラシーの課題も明確になりました。
今後は、政府の支援策の充実とともに、自治体自身がDX推進に対する主体性を持ち、実行力を発揮できるかが問われることになるでしょう。
自治体DXの未来に向けた本格的な議論は、これからも続いていきます。