9月25日の米WTI原油先物価格は4月19日以来約5カ月ぶりの高値を付けた(1バレル=52.22ドル)。
8月末に1バレル=45ドル台に落ち込んだ原油価格は、ハリケーン襲来により米国のガソリン在庫が大幅に減少したことや、石油掘削装置(リグ)稼働数が減少傾向にあることを理由に上昇に転じていた。
OPECをはじめとする主要産油国の協調減産も原油相場の下支えとなっている。OPECと非加盟の主要産油国は9月22日にウィーンで閣僚による会合を開き、来年3月に期限を迎える協調減産の再延長について議論した。今年初めからOPECは加盟国全体で日量約120万バレル、非加盟国は同約60万バレル、合計で同約180万バレルの減産を実施しており、8月の減産達成率は116%に達した(7月は94%)。これによりOECD各国の商業在庫は1億6800万バレル減少し、8月時点では過去5年平均を1億7000万バレル上回る水準にまで低下した。
だが、原油価格は年初に付けた1バレル=55ドルの水準に達していない。このため産油国は来年3月までの減産の期間を3カ月間延長する案を検討している(ただし、ロシアのノヴァク・エネルギー相が「結論を出すのは時期尚早」と発言するなど、いまだ足並みは揃っていない)。
米国ではリグ稼働数が3週連続で減少しているものの、米エネルギー省は10月のシェールオイルの生産量が日量608万バレルと過去最高になると予測している。8月の掘削済み・未仕上げ坑井(DuC)が7000本以上と膨れ上がっていることから、リグ稼働数が減少してもしばらくの間シェールオイルの生産は増勢を続ける可能性が高い。原油価格が1バレル=50ドルに達したことでシェール企業の「売り」ヘッジが増加して上値を抑えるという毎度の展開も繰り返されている(9月23日付日本経済新聞)。
クルド系住民の独立運動が“買い材料”に
このように先行きに不透明感が強く「売りにも買いにも動きにくい」との声が市場関係者の悩みが続くかと見えた矢先に「クルド独立のための住民投票実施」というニュースが飛び込んできた。