8月14日の米WTI原油先物価格は約5週間ぶりの大幅安となった(先週末比1バレル=1.23ドル安の同47.59ドル)。その後原油在庫が大幅に減少したものの、ガソリン在庫が予想外に増加したことなどが嫌気され、原油価格は1バレル=46ドル台後半まで下落した。
7月中旬から原油価格は1バレル=48ドルから50ドルという狭いレンジで推移していたが、取引される材料はもっぱら「供給」サイドの情報だった。最も注目を集めていたのはOPECとシェールオイルの生産量である。
OPECは8月10日、「7月の加盟14カ国の原油生産量は前月に比べて17万バレル強増加し、日量平均3287万バレルだった」と発表した。生産量が増加した主な要因は、減産措置の適用除外となっているリビアの生産量(15万バレル増の日量100万バレル)とナイジェリアの生産量(3万バレル増の175万バレル)がそれぞれ増加したことである。これまで率先して減産してきたサウジアラビアの生産量も、夏場の国内消費(冷房需要など)の増加に対応するため割当量をやや上回った(日量1006万バレル、減産目標は1005.8万バレル)。
次にシェールオイルだが、米エネルギー省は14日、「9月のシェールオイルの生産量は前月比10.5万バレル増の569万バレルに増加する」との見通しを示した。このところ石油掘削装置(リグ)稼働数の増勢が鈍化し、シェール企業大手は軒並み設備投資計画を削減している。しかしその影響が現れるまでには時間がかかりそうである。
「OPECの減産」と「シェールオイルの増産」の綱引きがデッドロック状態に陥ってしまったことから、世界の原油の過剰在庫の解消はなかなか進まない。6月のOECD諸国の原油在庫は30億バレル台であり、過去5年平均を2.5億バレル上回っている。市場からは「ファンダメンタルズがはっきりしないため様子見となっている」との声も聞こえてきていた(8月14日付ブルームバーグ)。