スーパーマーケットなどで売られている食品は皆、袋やトレイなどで包装されている。一見無駄と思われるような包装も、食品の劣化を防ぎ、おいしく食べられるように威力を発揮している。
プラスチックフィルムで包装技術が向上
今年の夏は悪天候の日が多いものの、やはり暑い日にはビールが飲みたくなる。ビールのお供の定番といえばポテトチップスや枝豆だ。実は、この三者はどれも品質が低下しやすいものばかり。それにもかかわらず、いつでもおいしく楽しめるのは、食品の包装技術の進歩によるところが大きい。
古くは木の葉や竹の皮などで食品を包んでいたことが知られ、瓶詰や缶詰の発明により食品の包装技術が発達した。さらに、食品包装用プラスチックフィルムの登場により、食品の包装技術は大きく向上した。
食品包装用プラスチックフィルムとは、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど性質の異なるプラスチックフィルムを貼り合わせたものだ。複合フィルムにすることで、それぞれのプラスチックの機能を同時に発揮させることができるので、単独のプラスチックより機能が格段に向上する。
たとえば、耐熱性を高めた複合フィルムが開発されたことで、熱に強い瓶や缶を使わなくても、プラスチックフィルムの袋で食品を高温殺菌できるようになり、缶詰や瓶詰と同じように保存できるようになった。これがレトルト食品の始まりである。
また、1970年代半ばに水蒸気や酸素などのガス透過を防ぐ機能を備えたガスバリアフィルムが開発され、ポテトチップスの袋に使われた。これらをきっかけに、ものを包むため、運ぶためというよりは、食品の劣化を防ぐため、品質を保つための技術開発が盛んになった。