エネルギーを余分に摂取すると太る。逆に、必要未満しか摂取しないと痩せる。太る・痩せるの仕組みは“収支計算”を基本に考えられている。
では、過食を続けていると、体ではどんな現象が起きて、太るのだろう。近年、脂肪を蓄積する細胞が肥大化するだけでなく、増殖もするという研究結果が報告されている。だが実際は、対立的な説が並存している状況だ。
“余った分”は脂肪に変わる
パンやライスなどの主成分は糖質(炭水化物)だ。糖質を多く摂取すると太る、とよく言われる。どうして糖質を多く摂取すると太るのだろう。
糖質が体の中に摂り込まれると、分解されてブドウ糖になる。ブドウ糖は体を動かすエネルギー源として使われるほか、肝臓や筋肉でグリコーゲンという物質となり貯えられる。グリコーゲンは簡単にブドウ糖に変わる重要な物質だ。
ただし、貯えられるグリコーゲンの量には限界がある。限界を超えた分が、肥満をもたらす中性脂肪となるのだ。
なお、中性脂肪を作るのにもエネルギーが必要となる。体内でのエネルギーのやり取りの担い手であるアデノシン3リン酸(ATP)という物質も、元を正せば余剰な糖質が主要な原資だ。バターなどの脂質や、肉などに含まれるタンパク質などからもATPは作られるが、私たちは日々相当量の糖質をパンやライスなどで摂り込んでいるので、糖質からATPが生じるといっても過言ではない。
こうして作られる中性脂肪は、体のどこに貯蔵されるのかといえば「白色脂肪細胞」という細胞だ。下腹部、でん部、太もも、内蔵まわりなどに多く存在する。いわゆる贅肉の元だ。