仕事のプロセスを評価することも、管理することもできなければ、アウトプットに注目するしかない

 営業のような「稼ぐ」仕事の場合には売上高や獲得した利益に基づいて報いるのが基本になるし、一般の仕事の場合には期待された成果をあげているか、役割を果たしているかどうかをチェックすることになる。いずれの場合にも働き方や働く場所、時間などは本人の裁量に委ねるのが望ましい。オフィスも、そこで働かせるというより、仕事をする場所を提供するという形になる。

 興味深いことに欧米の企業では近年、従来の細かい評価制度を見直す動きがみられる。そしてホワイトカラーの場合、仕事の成果を厳しく問う一方、いつ、どこで仕事をしているかを実質上管理しないところが増えている。日本でいう裁量労働に近い働き方が制度の有無と無関係に広がっているわけである。それが意図したものかどうかは別にして、仕事の重要なプロセスがブラックボックス化している時代に合っているといえよう。

 対照的にわが国では、「時間にとらわれない働き方」を導入することへの抵抗が根強い。たしかに欧米と違って個人の責任や権限が不明確で、組織内での地位も確立されていない現状では「残業代ゼロ制度」に堕する危険性がないとはいえない。けれども技術の発達や経営環境の変化に適合した働き方に切り替えていかなければ、企業にとっても人間にとっても未来がないことはたしかである。

 AIやIoTの導入を契機に、組織もマネジメントも再構築すべきではなかろうか。