いま、日本人の働き方が問題になっている。

 その1つは恒常的な残業や長すぎる労働時間、それに有給休暇の取得率の低さである。

 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、一般労働者(正社員)の年間総労働時間は2021時間(2014年)であり、フランスやドイツなどと比べて日本では年間3カ月ほど長く働いている計算になる。有給休暇も欧米では100%近く取得されているのに対し、わが国では47.6%(厚生労働省「就労条件総合調査」2014年の実績)と半分も取得されていない。

 長すぎる労働時間や休暇の取りにくさは、ワークライフバランス(仕事と私生活の調和)に支障をきたすばかりでなく、メンタルヘルスを損なったり、ときには過労死につながったりする危険性もある。また女性の活躍推進も重要な政策課題だが、女性の管理職昇進にとって大きな障害になっているのが、やはり長時間労働などの負担増である。

 労働時間の適正化や休暇の取得促進については、労働者自身の関心も高い。たとえば日本経済新聞が行った「ビジネスパーソン調査」(2016年)では、企業に対して重視することとして「休暇の取りやすさ」「労働時間の適正さ」が1、2位を占めている。