Aさんのある行動によって部署の雰囲気はぐっと良くなった(写真はイメージ)

 この前、ある大企業に勤めているAさんという方から素晴らしい話を聞きました。

 Aさんは管理職ではなく1プレイヤーとして働いています。2年ほど前、Aさんが現在の部署に異動になったとき、「何だか雰囲気があんまり良くないなあ」と感じたそうです。社員同士の仲が悪いわけではないのですが、お互いのコミュニケーションが不足していてみんな言いたいことが言えず、なんだかよそよそしく感じられたようです。

 そこで、Aさんは「よし、この部署を変える!」と決めたのだそうです。

実行したのはとてもシンプルなこと

 その部署は、150人もの大所帯です。私は「どうやって?」と思いました。部長や課長たちが先陣切って変えるというのならばイメージできますが、一プレイヤーのAさんが、というのはイメージしにくかったのです。

 では、Aさんは何をしたのか。実行したのはとてもシンプルで簡単なことでした。

 それは、挨拶です。Aさんはこう言います。

「人の出入りがあると、必ず大きな声で挨拶したんです。『おはようございます』『お疲れさま!』とか。そうしたら、やっている内に、席の近くの人たちが真似してくれるようになりました。最後は、その内に部署全体がそうなりました。そして、今では、部署として仕事以外のイベントを企画したり、皆で何かをやる一体感が出てきたんです」

 それを聞いて、驚きました。いきなり1人だけ大きな声を出して挨拶を始めるのは相当な勇気がいることです。周りの人も「一体どうしたんだ」と思ったことでしょう。自分自身をふり返ってみても、出社時や退社時に挨拶をするにはしますが、何だか気恥ずかしくて、最低限の挨拶しかせず、声も小さめです。