チェスでは既に人間はコンピューターにかなわないが・・・。(写真はイメージ)

 人工知能とロボット。少し前までSFの世界のお話だったのですが、ここのところ急速に現実性を帯びてきましたね。将棋ではトッププロが人工知能(AI)に破れ、投資マネーは一斉にAIとロボットの分野に向かっています。今後10〜20年で人間の職業の約半分が奪われるという説もありますが、私もそれはそうだろうなと思います(参考:https://www.change-makers.jp/news/10602)。

人工知能とロボットができること、できないこと

 人工知能とは何かとかロボットとは何かを説明し始めると、本を何冊でも書ける量になるので省略しますが、もう「彼ら」にはできないことを考えた方がよいくらい、幅広いことができるようになりつつあります。単純作業はもちろん、一見複雑と思える仕事でも、こなすようになると予想されます。

 例えば、医療の現場で病状から病名を特定するくらいのことは、AIの方が下手な生身の医者よりも得意になるでしょう。私がいた金融の世界でも、企業価値を算出したりポートフォリオを組んだりというような仕事はむしろAI向きの仕事であり、銀行の窓口業務やスーパーのレジなども、早々に機械に置き換わるでしょう。

 かなりの部分の「判断」すら彼らで完結するようになり、人間はせいぜい1名、機械の暴走を止めるための最終装置としてそこに存在する程度になるでしょう。かなり複雑な投資判断などの仕事であっても、AIが全ての情報と案を整えて、人間はGOのボタンを押すだけということになるでしょう。

少子高齢化で労働力が不足する?

「若者が減って労働力が不足する。日本は大量の移民を受け入れなくてはならない」という論調がありますが、私はこれは的外れな話だと思います。もちろん一時的にそういうことは起こるかもしれませんが、少し長く時間軸を取れば、深刻なのは労働力の不足ではなく、むしろ正反対の人間の仕事がなくなることの方でしょう。