過労自殺に象徴される「働き過ぎ」、相次ぐ大企業の不祥事、掛け声ばかりで進まぬ女性の管理職登用、職場のハラスメント・・・。一方ではイノベーションや画期的新製品がなかなか生まれず、企業の国際競争力や労働生産性の順位も低下している現実。
いま日本人の働き方、職場のあり方があらためて問われている。政府は「働き方改革」を看板政策として掲げ、企業も改革に本腰を入れるようになった。しかし私が見るところ、現状はいわば対症療法が中心で核心に迫っているとは言いがたい。
冒頭に掲げたような諸問題は、いずれも日本企業特有の組織構造、あるいは組織と個人の関係に根ざしている。したがって、そこにメスを入れないかぎり問題の根本的な解決にはつながらないわけである。
そこでこの連載では、「組織と個人」の関係に焦点を当てながら、日本人の働き方、企業組織の特徴を浮き彫りにし、改革への展望を示したい。
表向きは勤勉だが、仕事への「熱意」は最低
第1回は、日本人の働き方に注目してみよう。