1月の実験の際、北朝鮮側は「水爆実験に成功」と自称しているが、水爆実験での爆発規模は通常ははるかに大きいので、まず水爆とは考えられず、実際には小規模な核融合技術を利用したブースト型核分裂弾の実験だった可能性がある(爆発規模が小さかったことから、ブースト段階は失敗した可能性が高い)。小規模な核融合を使っているので、それを「水爆」と誇張しているのではないかと推測されるが、今回、前回実験からわずか8カ月で再実験したのは、前述したように開き直って遠慮なく核実験していこうということでもあるだろうが、もしかしたら前回時に失敗したブースト型の改良だけだったという可能性も考えられる。
そして、威力強化型の開発に本格的に乗り出しているなら、最も切実に要求される小型化はもう実現できているのではないか。これはあくまで憶測にすぎないが、考えられないことではない。
もう1つの傍証としては、最も情報を持っているはずの米韓軍事当局が、昨年から対北朝鮮の作戦計画をがらりと変えたということもある。
それまでの米韓軍の作戦計画は、基本的には北朝鮮軍の侵攻に応戦して、大規模な空爆・砲撃のうえで、正規軍陸上部隊の投入による制圧戦を想定していた。だが、昨年からは、場合によっては先制攻撃で北朝鮮の核とミサイルの施設を特殊部隊で押さえることが想定されるようになった。米韓軍がそれだけ、北朝鮮の核ミサイルを現実の脅威と考えるようになった証拠である。
結局、北朝鮮がすでに核弾頭を完成し、日本を核ノドンの脅威下においたかどうかは不明である。しかし、「まだ実現されていない」と断定する根拠はない。実現されている可能性は間違いなく存在し、否定することはできないのだ。
少なくとも日本は「すでに核ノドンの脅威下に入った」ことを大前提に、防衛体制の根本的な再検討を急ぐべきだろう。