1月の核実験から核ミサイル武装アピールを一気に強化

 筆者自身は、北朝鮮側のアナウンスの変化に注目している。前述したように北朝鮮は2013年から折に触れて自らの核ミサイル戦力保有をアピールしてきたが、昨年まではその口ぶりは控えめだった。

 それが今年1月の4回目の核実験以降、急に「核ミサイル武装」アピールのレベルが変わった。本気度が一気に上がったのである。核ミサイル保有を宣言し、米国をいつでも攻撃できると誇示する声明も強化されたが、それだけでなく、起爆装置のレプリカと思われる球体や、再突入体の耐熱実験などの様子も発表された。

 前年までは、ときに原発建設や人工衛星打ち上げなど平和利用という口実まで使ってこそこそと核とミサイルの開発を行っていたが、今年1月の核実験以降は、アメリカの敵視政策に対抗するために、対米抑止力として核ミサイル戦力を強化することを堂々と宣言し、実際にそれまでとはうって変わって堂々と矢継ぎ早に多種のミサイル実験も実行した。

 まさに「開き直った態度」だが、その激変ぶりの理由としてひとつ可能性が考えられるのが、今年1月の核実験で、北朝鮮が核弾頭を実現化したということである。

 今年5月に党大会を開催して核武装をアピールするなど、今春以降の北朝鮮の行動は、自らが核ミサイル武装を成し遂げたことを国際社会に認めさせ、それを既成事実化することを目指したものでもあった。今回の核実験で北朝鮮はことさら「核弾頭の実験に成功」とアピールしているのも、そのためであろう。

 そして、北朝鮮がそこまで本気になって核ミサイル武装実現の周知化を図っているということは、やはりそれが実際に実現されている可能性がかなり高いことを示している。新技術の固体燃料ロケットを採り入れた潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を短期間で開発したように、北朝鮮の技術力は侮れないレベルであり、しかも有言実行している。北朝鮮はたしかに「自らの戦力を誇張して誇示」する傾向にあるが、あからさまな嘘はいずれ矛盾を露呈し、説得力を失うため、これまであまりしていない。したがって、核弾頭が未完成なのに、ここまで自信をもって誇示することは考えにくいのだ。

米韓軍も昨年から核ミサイル拠点制圧重視に

 今回、爆発規模が過去最高だったことも気になる。1月の爆発規模はTNT換算で6キロトン。今回は10キロトンとみられている。