要するに、ハリス提督の議会やメディアに対する明言を受けて、アメリカ軍の対中強硬派が「アメリカ海軍としてはいつでも中国人工島周辺12カイリ内に軍艦や軍用機を派遣してFONパトロールを実施する作戦の準備は万端整っており、オバマ大統領のゴーサインを待つだけだ」というメッセージを発しているわけである。
オバマ大統領にとっては、太平洋軍にゴーサインを出さないと、中国が南沙諸島に建設している7つの人工島は中国の領土であることを認めてしまったと捉えかねられない。その結果、中国と南沙諸島の領有権をめぐって紛争中のフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイそれに台湾は、アメリカへの信頼を失うことになるであろう。
同時に、南沙諸島はじめ南シナ海を“中国の海”と化していく流れによりいっそう拍車がかかることになるのは必至である。
一方、オバマ大統領がFONパトロールにゴーサインを出した場合、アメリカの国是である「自由航行原則を守り抜く」そして「世界中に守らせる」という毅然たる態度を取り戻したと、アメリカ海軍はじめとする「自由航行原則至上主義陣営」からは評価されることになるであろう。