域内の規格に合わせることはもちろん重要だ。しかし、軸重を上げれば上げるほど、当然、それに応じてバラストの敷き直しを含め施工コストも跳ね上がる。
今回の近代化は無償ではなく円借款での実施が予定されている以上、ミャンマー側の返済能力も鑑みつつ軸重を設定する必要がある。結局、議論の結果、翌週再び協議を行うことになった。
ギャップを埋める
それぞれの担当分野ごとにミャンマー側担当者と何度も協議を重ね、要望や理由を1つ1つ聞き出しながら提案を重ね、意見の落としどころを探るエンジニアたち。
しかし、いかに多くの人に雇用を提供するかという点にプライオリティーが置かれるミャンマーと、人件費を削減するために急速な省力化が進められてきた日本の間に広がるギャップは決して小さくない。
日本規格のスペックインを視野に入れ、このギャップを埋めるべく協議を重ねる彼らの姿は、まさに、会議室が「もう一つの“現場”」であることを体現していると言えるだろう。
2014年12月上旬、専門家たちはそれぞれプログレスレポートの執筆を開始し、今年1月末、ミャンマー側に提出した。
今後、そのレポートに対してMRから寄せられるコメントや要望を踏まえ、7月を目途に基本設計(B/D)を作成するという。タイトなスケジュールの中、会議室とフィールド、両現場で調査団の奮闘が続く。
(つづく)
本記事は『国際開発ジャーナル』(国際開発ジャーナル社発行)のコンテンツを転載したものです。