協議は続く 

 一方、線路などの軌道や橋梁の設計を担当する土木チームも、やはりプログレスレポートに向けて協議が大詰めを迎えていた。

 車両基地チームが“熱い”協議を繰り広げた翌日にMRを訪れた土木チームは、軌道の専門家と橋梁の専門家ら計6人。

 軌道の2人にとっては、前日の朝に続いて2日連続の訪問である。前の日に合意に至らなかった枕木の間隔や、枕木の間に敷くバラストと呼ばれる砂利の材料などについて話を進めるためにやって来た。

 レールの規格によって枕木を置く間隔も変わってくるし、比較的軽量の気動車と重量のある機関車を将来的にそれぞれどれぐらい走らせるかによっても軌道の設計は変わる。話し合うべきことはたくさんあった。

 「現在は時速30km前後でゆっくり走行しているが、改良後は最大で時速120kmまで上がる。MR側にとってはまさに“未知の世界”だからこそ、丁寧に詰めていく必要がある」とオリエンタルコンサルタンツグローバル軌道交通事業部軌道交通計画の菊入崇さんは話す。

 一方、橋梁の専門家たちがこの日議題に挙げたのは、橋梁の規格だった。

 規格とは何か。一言で言えば、車両や地上設備といった多くのパーツの組み合わせから成る鉄道を高度な安全性と信頼性で運行するとともに、低コストで合理的に保守・維持管理するために必要な“共通ルール”だ。

ネピドーの国会議事堂前には片側10車線の道路が伸びているが、通行量はほとんどない