回廊ベースの開発を提案

ヤンゴン市内を走る環状線の様子。靴を脱いで車窓の景色を楽しむ乗客

 この日お披露目されたマスタープランは、綿密な社会経済分析と試算に基づきまとめられた。

 周知の通り、ミャンマー政府は現在、テイン・セイン政権の下で「2015年まで年7.2%のGDP(国内総生産)成長率を実現する」との開発目標を掲げ、意気盛んに国内の開発に取り組んでいる。

 目標通りの経済成長を達成すると、2035年には経済規模が現在の5.4倍となる計算だ。しかし、その暁には、道路や鉄道、航空、内陸水運など、複数の物流インフラの輸送容量が不足することが判明した。

 そこで、柴田総括らは、目標通りの経済規模を支えられるだけの運輸インフラを整備するために2014~2030年の間に必要な投資額を試算。全体で4.9兆円に上ることが分かった。

 その上で、今回のマスタープランでは、2020年までの最初の6年間は、まずは航空、道路、鉄道、港湾、内陸水運など、国の経済成長に直接つながる基幹交通インフラに集中的に資金を投入し、その後、2021~2030年には、基幹交通に加えて地方にもバランスよく展開していくことを提案。

 さらに、今後の開発アプローチとして南北方向および東西方向に計10本の経済回廊を定め、うち優先回廊とした5本の回廊上の具体的なプロジェクトを挙げている。

 実は、この調査が終盤を迎えた2014年8月、激震が走った。同年3月末から4月上旬にかけて31年ぶりに実施された人口センサス(国勢調査)の結果、これまで約6000万人と言われていた人口が、約5000万人に下方修正されたのだ。

 投資先として、あるいは市場として、世界から高い関心を集めていた同国の人口規模が約1000万人少ないという事実は、さまざまな面に影響を及ぼすであろう。新しい国作りを進める上でも、人口はあらゆる政策の基盤となるだけに、その波紋は大きい。

 もし、ヤンゴンやマンダレーなどの都市人口を過大評価していたのなら海外からの投資に影響があるだろうし、ビルマ族の人数を過大評価し少数民族を相対的に少なく評価していたのなら、運輸交通政策としても地方への比重を高める必要が出てくるかもしれない。

 さらに、GDPを人口で割った1人当たりGDPの数値が変わり、後発開発途上国(LLDC)とは認められなくなるかもしれない。その場合は、当然、円借款の貸付条件も大きく変わってくるはずだ。

 センサスの結果が今回のマスタープランに及ぼす影響を見定めるためにも、総人口が減少したことの背景にある要因や内訳など、正しい人口構成を見極める必要がありそうだ。