他国に学べ

 続いてあいさつに立った国際協力機構(JICA)の田中雅彦ミャンマー事務所長(当時)は、「ミャンマーの扉は世界に開かれた。アセアン地域の統合につながる回廊の要衝に位置するこの国の交通分野計画には、さまざまな関係者との間で連携とシナジーが求められる」と発言。

 先の大臣の発言を受けて「マスタープランを分厚い書類のままとどめず、実施に移していくことが重要」だとした上で、「ミャンマー政府がこのマスタープランに基づいて国作りを進めていくのなら、JICAはそれを全面的に支援したい」と述べた。

 その後、社会基盤・平和構築部の小泉幸弘課長(当時)が登壇し、このセミナーに出席するためにどうやってヤンゴンから来たか会場に問い掛けた。

 同氏は、3分の1が飛行機、3分の2がバスや車で、鉄道はゼロという結果を受けて、「ヤンゴンとネピドーの距離は約320km。鉄道が最も優位性を発揮できる約3時間の距離」だと指摘した上で、鉄道が将来、他の交通機関と並び移動の選択肢の1つとして人々に活用されるポテンシャルを秘めていることに強い期待を示した。

 さらに小泉課長は、ベトナムが1990年初頭までミャンマーとほぼ同程度の人口を擁し、同時期に経済を開放して内外からの注目を集めるなど、多くの共通点を有していたことを紹介。

 その後20年の間にベトナムが急速な経済成長を遂げ自動車の保有台数が急増し、市内の交通対策が喫緊の課題になっていることに触れ、「ミャンマーは今日、20年前のベトナムとほぼ同じ水準にあるが、発展スピードはもっと速い。経済成長に対してインフラ整備が手遅れになる前に、ベトナムをはじめ他国の経験に学び、長期的な指針となる交通計画を策定し、着実に対策を実施していくべき」と訴えた。

スピーチをするニャン・トゥン・アウン運輸大臣
来場者からは活発な質問が出た