小売業の原点は「単品管理」
過日、福岡県柳川市の「スーパーまるまつ」を訪問した。まるまつは、たった1店舗の地場スーパーである。チェーンストアを含め、小売各社がしのぎを削る激戦区にあって、地域シェアNO.1を保ち続ける人気店である。この店を作り上げたのが社長の松岡義一氏である。松岡氏はなんと84歳で現役の社長であった。
1店舗だけだが、年間利用者数7万5000人、1日2500人の来客数を誇る。40年以上前にPOSレジが導入され始めた頃に、いち早く導入し、POSレジから出る資料やデータを社長自からが開発したという。データを徹底的に分析・活用するなど、顧客管理、商品管理、仕入先管理に取り組んで成果を上げている。
それは今で言うところの単品管理である。つまり、一品一品の仕入の数と金額、在庫の数と金額、売上の数と金額、売上原価、粗利率等をコンピュータで管理しているのである。
当然、何千何万という商品を扱っている普通のスーパーではこうした単品管理は、資料が膨大な量になってしまい、管理すること自体、時間と費用がかかってしまい、あまり意味をなさなくなる。しかし、その社長は40年前から続けてきているため、蓄積した販売データを徹底的に分析し、売り上げ予測をシミュレーションしている。この日に、この価格で売れば、何個売れるのかを完全に予測することができるという。
この方法によって、まるまつは「値引きなし」「売れ残りなし」を実現し、ロス率はわずか2%という驚異的な数値である。つまり昔から単品管理を続けてきている日本でも珍しい高効率経営を行うスーパーであるのだ。