中小企業の廃業前に検討したい第3の選択肢(写真:TarikVision/Shutterstock)中小企業の廃業前に検討したい第3の選択肢(写真:TarikVision/Shutterstock)
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~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回は、中小企業の経営資源の引き継ぎについて解説していきます。

(原澤大地:日本政策金融公庫総合研究所 研究員) 

「経営資源の引き継ぎ」という選択肢

 将来的に廃業を予定している中小企業が増えている。当研究所が従業者数299人以下の中小企業に対して、2015年から4年おきに実施してきた「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果によると、「自分の代で事業をやめるつもりである」と回答した中小企業経営者の割合は、2015年に50.0%、2019年に52.6%、2023年に57.4%と上昇している。

 中小企業の廃業は、雇用の減少、技術やノウハウの喪失、地域の生活インフラの崩壊など、経済社会に対してさまざまな影響を及ぼす。

 これを少しでも抑えるべく、官民を挙げて事業承継を支援する取り組みが進められているわけだが、なかには業績が振るわず事業承継できる状況になかったり、最初から事業承継をするつもりがなかったりする企業も存在する。

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『中小企業における事業承継問題の実態と変化 ─3回の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」結果から─』2015年9月、2019年10月、2023年1月に実施した 「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果から、中小企業における事業承継問題の実態と変化を探ったレポート中小企業における事業承継問題の実態と変化 ─3回の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」結果から─』2015年9月、2019年10月、2023年1月に実施した 「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果から、中小企業における事業承継問題の実態と変化を探ったレポート

 廃業による影響を抑えることはできないのかというと、必ずしもそうではない。引退する経営者には、事業承継のほかに、経営資源の引き継ぎという選択肢がある。

 一般に、企業は従業員、不動産、設備、製品・商品、販売先、仕入先、免許・資格など、さまざまな経営資源を保有している。もし事業をやめることになったとしても、これらの経営資源が他社に引き継がれ、有効に活用されれば、廃業の影響を抑えることができるだろう。

 今回は、2023年に当研究所が従業者数299人以下の中小企業に対して実施した「経営資源の引き継ぎに関する実態調査」の結果をもとに、中小企業における経営資源の引き継ぎの実態を紹介していく。

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『中小企業における経営資源の引き継ぎの時系列分析』2017年と2023年に実施したアンケートの結果をもとに、中小企業における経営資源の引き継ぎの実態や変化について詳しく分析したレポート中小企業における経営資源の引き継ぎの時系列分析』2017年と2023年に実施したアンケートの結果をもとに、中小企業における経営資源の引き継ぎの実態や変化について詳しく分析したレポート