~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回からの連載(全3回予定)では、日本らしい製品やサービスの海外展開について取り上げます。企業事例をもとに、初回では海外展開の動機、第2回では直面した課題、第3回では得られた成果を分析します。
(篠崎 和也:日本政策金融公庫総合研究所 研究員)
「日本ならでは」が生かせる
わが国の人口は、2008年をピークに減少傾向にあり、今後も減少が続くとされている。国内の事業だけでは成長が見込めず、輸出や対外直接投資といった海外展開に活路を見いだす企業も少なくない。
他方、日本の文化や魅力を発信し、ブランド力を高めようとする動きも広がっている。日本政府観光局「訪日外客統計」によると、2010年に約860万人だった年間の訪日外客数は、コロナ禍に入る前の2019年には過去最高の約3200万人を記録するなど、日本に関心をもつ外国人が増えていることがわかる。
海外から日本への関心が高まっていることは、日本の文化や生活様式を反映させた日本らしい製品やサービスを扱う企業にとってはビジネスチャンスといえる。
当研究所は、日本ならではの製品やサービスを海外展開することに成功した中小企業の事例調査を行った。本連載では、事例企業が経たプロセスや得られた成果の一部を紹介し、商圏を世界に広げるためのヒントを示したい。
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