北朝鮮が衛星(テポドンミサイル)の発射に失敗した。これについては新聞各紙が土曜日の一面で大きく報道しているが、どれも似たり寄ったり。大きく扱われている割には示唆に富む内容とはなっていない。
日本が発射を感知できなかったのは大きな問題なのか
とりわけ、日本政府に対する批判はやや過ぎたものがないだろうか。
米国が発射を察知していたのに日本は40分も空白があったなど、政府や自衛隊の探知能力を厳しく批判しているのだが、日本には偵察衛星がないのだから、それは無理もない。
そのことを指摘しているのが織田邦男さんによる「北朝鮮のミサイル発射が浮き彫りにした日本の問題」である。
織田さんは、今回のミサイル発射(衛星打ち上げ)で明らかになった問題は、日本の法律不備ではないかと言う。
航空自衛隊は日本へのミサイル攻撃に常に臨戦態勢で臨んでいるのに、いざ事件が発生したときに命令系統の不備で、実際の危機に対応できない危険性があるというのだ。
日本では第2次世界大戦のトラウマがあるために、英国や米国のようにネガティブ・リストの方式を避けてきた。
今までのように米国が圧倒的な軍事力で日本を守ってくれている状況ならいざ知らず、今回のようにいつミサイルが飛んでくるか分からない状況では、早急に基本的なところから直していく必要があると織田さんは指摘する。
一方、今回のミサイル発射が失敗したことで、面子を失った北朝鮮は核開発を加速しかねないと懸念するのが、北朝鮮問題の専門家である福山隆さんだ。
緊急寄稿「北朝鮮のミサイル発射失敗で、核開発が加速へ」で、「金正恩およびその側近は、むしろ今回の失敗を強いトラウマ・原体験として心に刻み、“核ミサイル強成大国”を目指し、核ミサイル開発を強力に推進することに強くこだわるだろう」と指摘している。